改修工事を終えた聖徳太子堂の前で来場を呼びかける内田広平住職(右)奥の厨子に太子像がある=松江市竪町、信楽寺
改修工事を終えた聖徳太子堂の前で来場を呼びかける内田広平住職(右)奥の厨子に太子像がある=松江市竪町、信楽寺

 【松江】聖徳太子にゆかりのある松江市竪町の信楽寺(しんぎょうじ)(内田広平住職)が22日から4日間、同寺に伝わる「聖徳太子像」を公開する。期間中は太子像をあしらった限定の御朱印が受け取れる。

 像は高さ40センチの立像で、境内の聖徳太子堂に安置され、金や朱色の衣と菊の花のけさ姿で香炉を手にしている。住職によると、像はもともと隠岐にあり、江戸初期の松江藩主・松平直政が藩の作業場の守護として松江城下に運んだ後、寺に移したとされる。作者や制作時期は不明。

 同市殿町の松江歴史館の的野克之学芸専門監(仏教美術史)によると、像は「孝養像」と呼ばれ、聖徳太子が16歳の時に父である用明天皇の病気平癒を祈る姿を表現しているといい、的野学芸専門監は「島根県内では太子像の彫刻は珍しい」と話す。

 信楽寺は昨年に50年ぶりに一般公開したが新型コロナウイルス禍で観覧を控える人に配慮し、2年連続で公開することにした。内田住職は「戦争やコロナが収束し、太子が説いた『和を以て貴しとなす』世になることを開帳を通して祈願したい」と話した。開帳時間は午前9時~午後8時。

      (井上雅子)