松江市内を通勤中、大通りの横断歩道を青信号で渡っていると、猛スピードで左折する軽トラックが突っ込んできた。すんでのところで気付き、走り出して接触を免れた。高齢者マークを付けた車体のフロントガラス越しに運転席へ目をやると、白髪の70代以上に見える男性が苦笑いして片手を上げ、再び猛スピードで走り去った。危なかった▼危険な運転は年代に関係なく運転者の性格に起因するケースもあるだろう。信号で曲がる際、徐行なしで横断歩道上の歩行者に気付かなかった男性の場合、決定的な注意力不足。あの軽トラが人身事故を起こさないか心配だ▼その後、出社して新聞を開くと、東京・池袋の交差点で車が暴走し、母子2人が亡くなった事故から2年の記事が目を引いた。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた89歳の被告は刑事と民事で公判中だ▼来年6月までに改正道交法が施行され、過去3年間に、信号無視など11種類のうち一つでも違反があった75歳以上の運転者に運転技能検査(実車試験)が課せられる。合格するまでは免許更新ができない仕組みだ▼施行にかかわらず高齢運転者や周囲の家族は運転が大丈夫なのか、一考してほしい。島根県警によると、昨年の交通事故で第1当事者(加害者)の約3割が65歳以上だった。これまで築いた人生が一瞬で暗転する。頑張ってきた先達に晩節を汚してほしくない。(釜)