【記念試合・出雲商ー邇摩】5回裏出雲商1死一、三塁、加藤聖が左前適時打を放ち、13|0とする=県立浜山球場
【記念試合・出雲商ー邇摩】5回裏出雲商1死一、三塁、加藤聖が左前適時打を放ち、13|0とする=県立浜山球場
試合終了後に試合開催への感謝の思いを語る出雲商の古川蒼太主将(中央)=県立浜山球場
試合終了後に試合開催への感謝の思いを語る出雲商の古川蒼太主将(中央)=県立浜山球場
【記念試合・出雲商ー邇摩】5回裏出雲商1死一、三塁、加藤聖が左前適時打を放ち、13|0とする=県立浜山球場
試合終了後に試合開催への感謝の思いを語る出雲商の古川蒼太主将(中央)=県立浜山球場

 今夏の全国高校野球選手権島根大会を新型コロナウイルス感染のため出場辞退した出雲商が3日、出雲市大社町の県立浜山球場で「再試合」に臨んだ。不戦敗で涙をのんだナインのため、初戦の2回戦で対戦予定だった邇摩から申し出があり、県高野連も協力して実現した。

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 試合は、出雲商の打線がつながり20-3で邇摩に大勝。公式戦ではないが、島根大会に準じて県高野連審判部の審判員、大社、出雲の野球部員が試合運営を支え、勝利校の校歌斉唱もあった。

 出雲商の古川蒼太主将(3年)は「あらためて野球の楽しさや素晴らしさを知ることができた」と感謝し、邇摩の神在健心(3年)は「試合ができることがうれしかった」と話した。

 (藤原康平、佐野翔一)

 

 勝っても負けても最後の夏の試合で、出雲商は、各打者が好球必打で積極的にバットを振り、22安打20得点。古川蒼太主将は「みんなが結果を恐れず思い切ってプレーすることができた」とすがすがしい表情を見せた。

 試合後、古川主将が「今日の試合があるかないかで、この先が違っていたと思う」と振り返るほど、思いを込めて臨んだ一戦。試合がしたくてもできなかった島根大会の悔しさも振り払うように、ナインは初回から「悔いのないプレー」を体現した。

 各打者が「全ての打席が最後の打席」という気迫にあふれ、1番古川が3安打3打点、4番加藤聖が5安打2打点、6番桑本祥太朗が4安打7打点。打線の切れ目なく得点を重ね、攻撃型チームの本領を見せた。

 夏の大会初戦の前日だった7月15日。オンラインミーティングで松本篤士監督から出場辞退を告げられた時のことを、加藤は「何も考えることができず、ぼーっとしていた」と振り返る。

 公式記録には残らないが、相手校にも恵まれて確かな記憶を刻んだ夏。試合後、ナインを背にグラウンドに立った古川主将は「支えがあってプレーできたことに感謝したい」と万感の思いを口にした。

 

邇 摩000000003─3

出雲商40407203×─20

(邇)品川、神在、井戸、神在-白石

(出)西村-高橋

▽本塁打 桑本(出)

▽三塁打 古川3(出) ▽二塁打 花田、井戸、神在(邇)加藤2(出)

▽暴投 神在(邇)

▽捕逸 高橋(出)

▽試合時間 2時間50分 

【評】出雲商が22安打20得点の猛攻で、邇摩を圧倒した。

 出雲商は初回、加藤の左翼線適時二塁打、桑本の3点ランニング本塁打で、4点を先取。三回は4安打を集めて4得点。五回は、無死満塁から西村の中前打、古川の左中間三塁打などで7点を加えた。主戦の右腕西村が緩急を使った投球で、八回まで無失点に抑えて試合を引き締めた。

 邇摩は、神在の5安打を含む10安打を放ったが、九回の3点のみ。初回から毎回のようにつくる得点機を生かせず、流れをつかめなかった。