全国和菓子技術コンテストでグランプリを受賞した野田大晴さん=出雲市斐川町直江、福泉堂
全国和菓子技術コンテストでグランプリを受賞した野田大晴さん=出雲市斐川町直江、福泉堂
グランプリに輝いた作品
グランプリに輝いた作品
全国和菓子技術コンテストでグランプリを受賞した野田大晴さん=出雲市斐川町直江、福泉堂
グランプリに輝いた作品

 出雲市斐川町直江の和菓子店「福泉堂」で勤務する野田大晴さん(24)が、横浜市で開かれた「全国和菓子技術コンテスト」で最高賞のグランプリに輝いた。四つ葉を添えたういろうや虹と紙飛行機を模した寒天などの上生菓子で希望と平和を表現。店主の土江徹さん(45)に弟子入り後4年で身につけた技術を自信に、職人の道を探求し続ける。

 コンテストは全国菓子研究団体連合会が7月に開いた。上生菓子、工芸菓子、盆景菓子の3部門に計77品が出品され、全作品の中からグランプリ1作品を決めた。

 「希望と平和の願いを和菓子に込めて」のテーマに対し、野田さんはハトの羽をあしらった黒豆の「鹿(か)の子(こ)」やマーガレットの練り切りなど上生菓子5種で構成した「五つ盛」を出品。大会の約1カ月前から構想を練り、業務の傍ら試行錯誤を重ねた。寒天は出品直前に紙飛行機の角度を変更。一手間加えて傾斜を付け、虹に向かって飛んでいるように工夫した。

 製菓専門学校を卒業後、2018年4月から全国菓子大博覧会工芸菓子部門で最高賞に2回輝いた土江店主の下で学ぶ。グランプリの受賞に驚きつつ「技術を教わった成果が出た」と強調。香川県丸亀市で営む実家の和菓子店を継ぐため来春には帰郷予定で「恩返しではないが、最後の年にグランプリが取れて良かった」と喜んだ。

 残りの約半年間、工芸菓子の基礎になるという「盆景菓子」に挑戦し、後輩には自身が教わった技術や心構えを伝えていく。「世代や国籍を問わず和菓子に触れてもらえるようにしたい」とさらに技術を磨き、和菓子業界の発展に力を尽くすつもりだ。

 (月森かな子)