値段の横にシールを貼り、白い包装で中身を隠した「SDGs生ケーキ・ガチャ」=松江市上乃木7丁目、松江クロード
値段の横にシールを貼り、白い包装で中身を隠した「SDGs生ケーキ・ガチャ」=松江市上乃木7丁目、松江クロード

 洋菓子店・松江クロード(松江市上乃木7丁目)が始めた自動販売機を使った随時企画「SDGs生ケーキ・ガチャ」が人気を集めている。売れ残ったケーキを割安で中身が見えない形で販売。家族連れや勤務後の楽しみにと会社員が列をなすことがあるといい、フードロスの削減や従業員の働き方改革にもつながっている。(山本貴子)

 生ケーキ・ガチャは賞味期限が近かったり形が崩れたりした「訳あり商品」がある日のみ、閉店後に実施。1個400~500円のケーキ1、2個をパックに詰めてお手頃な価格で販売する。

 ケーキは天候や曜日によって売り上げが左右され、日によっては商品ロスが出るという。そこで、もともとスイーツ缶や焼き菓子を販売するために設けた敷地内の自動販売機でケーキを陳列したところ、「これはSDGsだ」「フードロスにつながっていい」といった声が寄せられた。

 SDGs生ケーキ・ガチャと称して今月15日から本格稼働すると、幅広い世代が利用。10~30セット用意し、販売開始から30分ほどで完売する日があるといい、製造部長の佐川達也さん(50)は「ケーキを廃棄するのは作り手として精神的ダメージがあった」と反響を喜ぶ。

 自動販売機の活用は労働環境の改善にもつながっている。同店は働き方改革の一環で店休日を増やし、閉店時刻を1時間短縮。それでも販売機で時短分の商品の提供を補っているという。

 専務取締役の石川りささん(46)は、従業員の心身の負担を軽減しながら顧客のニーズにも応えられる仕組みだとして「よい循環ができてうれしい」と話す。

 販売機は年中無休。午前8時半~午後9時に稼働させている。