山の斜面を自力で上り、さらに進もうとする子どもたち=松江市大庭町
山の斜面を自力で上り、さらに進もうとする子どもたち=松江市大庭町
鳴いているセミを見つけ、そっと近づいてみる女児=松江市大庭町
鳴いているセミを見つけ、そっと近づいてみる女児=松江市大庭町
山の斜面を自力で上り、さらに進もうとする子どもたち=松江市大庭町
鳴いているセミを見つけ、そっと近づいてみる女児=松江市大庭町

 暦の上では秋だが、残暑は厳しい。暑さや寒さの中、大人はおっくうになる「外遊び」は、子どもが生きていくうえで大切な体験。月に1回、未就学児に外遊びの場を設ける「しまね〝あそぼっ!〟の会」(大田市)が開く「おそとであそぼっ!」を訪ねた。 (増田枝里子)

 8月中旬の晴れた日。松江市在住の2~6歳の幼児7人と母親3人が、同市大庭町の出雲かんべの里敷地内にある小さな芝生広場にやって来た。

 「セミの抜け殻があったよ!」「栗が落ちてる」。子どもたちは目に入るもの一つ一つに反応する。近くの山の斜面を上がろうと、年上の子が小さな子の手を引く。下りてから「もう1回!」と再び斜面へ駆け上がった。

 会事務局長の中田朋子さん(78)は「こうして遊びながら体の使い方を覚える」。斜面を上ったり下ったり、道なき道を進んだりするには、手や足の使い方が重要。屋内や平らな道ではできない「学び」が自然の中にはある。

 気温30度の暑さで、熱中症が心配だが、暑いから、寒いからと外に出ないと「体験の機会」が失われ、環境に適合できる体づくりができない。

 外で過ごす間は気温に合わせて体温を調節し、自律神経が刺激される。雑菌に触れて免疫系が鍛えられ、日光や風はホルモンなどの内分泌系を活性化する。およそ2歳までにこうした刺激を得られないと、脳の発達に関わるという。

 暑い日は水分補給をしながら木陰で少しの間、過ごすのでもいい。雨の日は水たまりが遊び場に。遊具はなくても、子どもは面白いものを見つけて夢中になる。中田さんは「大人は『子どもをどこかに連れて行って遊ばせなきゃ』と思いがちだが、子どもにとっては身近な自然が遊び場になる」と助言する。

 1年前から子どもと参加する農原幸子さん(34)は「息子は虫を怖がらなくなった。斜面も上れるようになり、自信がついてきた」と実感する。

 これからの季節、ドングリや落ち葉に触れて楽しめる。オフシーズンの砂浜で砂遊びや貝拾いもお勧めという。多少の汚れやかすり傷は大目に見て、おおらかな気持ちで外遊びを楽しもう。

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 「おそとであそぼっ!」は毎月第3木曜に開催。原則0~2歳が対象で、定員は親子5組。参加費は保険料として1家族100円。無料体験会が9月1日、10月6日にある。申し込み、問い合わせは電話090(7137)2641。メールs-asobonokai@ck2.so-net.ne.jp