東京の大学へ入るとき、親からの注文は「学生運動だけはやめてくれ」だった。1980年代半ばだというのに、全共闘の衝撃がよっぽど残っていたのだろう。

 新入生があふれるキャンパスに行くと、政治的なサークルは左右ともども元気だった。ただし、彼ら以上に新入生勧誘に熱心だったのが、さまざまな宗教系サークル。筆者のように地方から上京したと一目で分かる学生はいいカモだ。声を掛けられたり、勧誘用の部屋へ連れ込まれたりした。

 仏教系サークルの部屋に連れ込まれたことがあった。相手はファイルされた説明資料に沿って、問いかけ、自分たちの主張をすり込もうとする。彼らによると、筆者はいかに駄目な人生を送ってきたということらしい。腹がたったので「それは...