米フロリダ州で9日から開かれる野球のU18ワールドカップのブラジル代表に、立正大淞南高3年の興梠(こうろぎ)フェリペケンゾウ内野手(18)が選ばれた。身長170センチ、体重70キロで、ミート力と広角に打ち分ける打撃が持ち味。「ブラジルスタイルと日本スタイルの両方を世界大会で出していきたい」と意気込んでいる。
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サンパウロ出身の興梠は12歳からブラジル代表として国際大会を経験し、インターネットの動画で見た日本の野球に憧れを抱いた。昨年4月、本格的に野球ができる環境を求め、先輩の後を追って2年生から同校に入学した。
すぐに遊撃のレギュラーをつかみ、春と秋の県大会で計3度の優勝を経験。3年の夏は準々決勝で敗れ、目標の甲子園出場は果たせなかったが、最後の打席で本塁打を放った。日本で過ごした1年半は野球観を大きく変化させ、「今までは、自分のことしか考えていなかったが、周りに気を配れるようになった」と自身の成長を振り返る。世代別のブラジル代表に入るのは8度目だ。
守備でも、持ち前のダイナミックさに加えて堅実さが備わり、プレーの幅が広がった。大学に進んでも野球を続けるつもりだ。
12カ国が出場する大会で、対戦を渇望しているのは、今夏の甲子園を沸かせたメンバーを中心に構成した日本代表。山田陽翔投手(滋賀・近江)の速球や松尾汐恩捕手(大阪桐蔭)の強肩などレベルの高いプレーをテレビで見ていただけに、「ヒットを打って塁に出たら、走る。全てで挑戦してみたい」と目を輝かせる。ブラジル野球の発展のため、共に戦うメンバーにも経験を伝えていく。
6チームずつが2グループに分かれて総当たり戦を行うオープニングラウンドで、ブラジルと日本は別のグループ。ともに上位3チームに入れば、スーパーラウンドで対戦する。「まずは自分のグループで勝つ。そして日本との対戦で良い結果を残す」と、母国を代表して臨む大舞台での活躍を誓った。 (原暁)