暖かくなりトロンボーンの屋外練習が楽しい。中学の吹奏楽部で楽器を覚え、最近の練習曲はボサノバの名曲「ノー・モア・ブルー ス」。世界的サックス奏者の渡辺貞夫さんがライブでよく演奏する▼最初に楽譜を見た時は難しくて目まいがしたが、習得過程が楽しくのめり込んだ。今は「アドリブをどうしよう」「合奏したい」と考えているあたり、初期の苦労を忘れている▼強豪・精華女子高校(福岡市)を率いて、10回も全日本吹奏楽コンクールで金賞に導いた藤重佳久さん(66)が浜田市に移住したことを15日付本紙で紹介した。読者から「精華女子の自由曲『ルイ・ブルジョアの賛歌による変奏曲』が心に残る」という吹奏楽ファンならではの感想メールが届いた。藤重さんは3度、この曲で全国大会に出場した▼大変な難曲だということは聴けば分かる。賛美歌の格調高い調べの中に、絶え間なく各楽器の技巧がちりばめられている。今振り返ると、筆者が中学生の時、後に進学する高校がこの曲で島根県大会を突破し、中国大会に進んでいた。強豪校でもなかったので、快挙だった▼ほんの2~4学年上の先輩の話である。奏者個々の力量は自分たちとさして変わるまい。難曲に挑む気風が先輩たちにあり、筆者の代にはなかった。そんな30年前のコンクールの記憶は苦くとも、新たにトロンボーンの難曲「宝島」の楽譜を読む。楽しそうだ。(板)