『仕(し)私(し)奮迅(ふんじん)』という文字面を見て、「獅子奮迅」の誤植ではと思う人も多いだろう。その年の世相を表す「創作四字熟語」を毎年募集している住友生命が、自社の新入職員に募った創作四字熟語の一つ。「仕事も私生活も奮闘したい」という意味らしい。初々しいが深みが欲しい▼その点、本家は秀逸だ。昨年末に発表された創作四字熟語の最優秀作は、元ネタは同じ獅子奮迅でも『医(い)師(し)奮(ふん)診(しん)』。新型コロナウイルスの感染が広がる中、奮闘する医師や医療従事者をたたえた▼年も改まり、その四字熟語は昨年の話と言いたいが、状況はあまり改善していない。変異株による「第4波」の広がりのため、東京などで3度目の緊急事態宣言が発令中だ▼感染対策で誰もがマスクをするようになった『全面(ぜんめん)口覆(こうふく)』(元ネタ・全面降伏)の生活には慣れたが、一番の願いは『収束(しゅうそく)渇望(かつぼう)』(就職活動)。『薬家(やっか)争(そう)鳴(めい)』(百家争鳴)でワクチンや治療薬開発にしのぎを削る製薬会社や研究所に奮迅の活躍を期待したい▼先の新入職員に話を戻すと『菌(きん)下(か)六畳(ろくじょう)』という作品もあった。「感染しない・させない」という社会的責任を全うするため、不要不急の外出を控えて、自室で研さんを積んでいきたいという意味。ちなみに元ネタは、守らなければならない重要な決まりを指す「金科玉条」。きょうから大型連休。渇望する収束に向け外出を我慢し、自らに磨きをかけたい。(健)