個人的にキャンプや風呂たきで炎を見詰めているのと同じくらいに夢中になれるのが、たこ揚げだ。最近ではドローンを飛ばすこともそう。空や雲を見上げていると、炎と同様に飽きることがない▼NHKで始まった連続テレビ小説『舞いあがれ!』では、長崎・五島列島に伝わる「ばらもん凧(だこ)」を揚げた出演者が一同に空を見上げるシーンが印象的だった。パイロットを目指す主人公の成長とともに、これからも映し出されるであろう空や雲の映像が楽しみだ▼一方、各地でミサイル攻撃を受けるウクライナの市民は、どのような気持ちで空を見上げているだろう。想像を巡らすが、おもんぱかることができない。夫人とみられる女性と共に耳をふさぎながら、漆黒に吸い込まれるミサイル発射の瞬間に立ち会った北朝鮮の金(キム)正恩(ジョンウン)総書記は何を思ったのか。同じ地球市民の「同床異夢」でも、中身が違い過ぎる▼きょう10月25日は民間航空記念日。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)などの支配下で民間航空機の保有や飛行だけでなく、研究も禁止されていたわが国で1951年のこの日、最初の民間機が東京から大阪を経て福岡へ飛んだ▼1号機を見送り空を見上げた人は、復興と平和の到来をあらためて思ったことだろう。混迷する国際社会で「平和は願っても来ない」といわれるものの、きょうだけは心からそのありがたさを思わずにはいられない。(万)