習近平総書記(国家主席)を頂く中国共産党。5年に1度の党大会を北京で開催した。「中華民族の偉大な復興」を掲げ、愛国心を発揚する。沸き立つナショナリズムはどのように醸成されたのか。第16回から計2回、気鋭の在米中国人学者、汪錚氏に聞く。

 ―習近平体制下の10年、中国ではナショナリズムが勃興した。

 「事の起こりは1989年にさかのぼる。この年の6月、天安門事件が起き、12月に冷戦が終結した。共産主義イデオロギーが破綻し、民主化のうねりが高まる中、中国共産党は正統性を脅かされる危機に陥った」

 「私はこの頃、北京の大学生...