踏切なのに信号機?ー。出雲市武志町と荻杼町の間に山陰両県で唯一、信号機が設置された踏切がある。本来、自動車で通行するには一時停止しなければならないが、信号機があることで止まらずに通過でき、交通渋滞の緩和に貢献している。なぜこのような踏切となったのか。理由を探った。 (政経部・清山遼太)

 

 現場は一畑電車北松江線の武志ー大津町間にある「武志農道踏切」。市内を流れる斐伊川から県道161号を西に300メートルほど走ると見えてくる。遮断機の上に交差点などで目にする信号機が設置され、そこには「信号踏切」の文字が表示されている。青信号の下を多くの自動車が停止することなく往来する。

列車が通る際に赤信号になる信号踏切=出雲市荻杼町から撮影

 踏切の信号機はなぜ設置されたのか。島根県警交通規制課によると、信号機が設置されたのは1992年。当時、出雲市の都市開発に伴って交通量が大幅に増加したため、渋滞や事故が多発していた。そこで、交通の流れがスムーズになるよう、信号機を設けたという。

 では、この場所に踏切が存在する理由は何か。時は71年までさかのぼる。県出雲県土整備事務所によると、...