印鑑の製造販売を手がける(株)永江印祥堂(松江市矢田町)で、三菱鉛筆(株)(東京都)の傘下にある経営を現場で実質的に取り仕切っている。自社の繊細な職人技は10月、SNS(交流サイト)で脚光を浴びた。直径1・2センチの印面に87文字を詰め込んだ印鑑の投稿に22万件超の共感が集まった。その後も百人一首の絵札をモデルにした印鑑など遊び心ある投稿を続けており「印鑑の硬いイメージを崩したい」と力を込める。

 業況は決して明るくない。

 「政府が2020年、財務関係書類約1万5千種類の押印義務を廃止した。実印、銀行印、法人印などが必要な83種類が残ったが、業界全体に暗い雰囲気があるのは確かだ。当社は売り上げの9割が『BtoB(企業間取引)』のため影響はほとんどなかった。しかし、...