2021年度決算検査報告を森田祐司会計検査院長(左)から受け取る岸田文雄首相=7日午前、首相官邸
2021年度決算検査報告を森田祐司会計検査院長(左)から受け取る岸田文雄首相=7日午前、首相官邸

 国の根幹を成す立法府の一翼でありながら、存在意義があるのかとの指摘を受ける参議院。今、それを示す時が来ているのではないか▼国のお金がどう使われたのかをチェックする決算審査だ。任期中の6年間は解散がないため、じっくり課題に向き合うことができるとし、参院が従来重視している。会計検査院によると、2019~21年度に国が計上した新型コロナウイルス対策事業で、総額94兆4920億円のうち2割弱の18兆円が使われなかった。4兆7千億円が不用額として国庫に残り、13兆3千億円が22年度に繰り越された▼単年度で使い切れず、次年度以降に繰越額を出すこと自体は悪いことではないが、あまりに多いと、予算を組む時に事業実施の見通しや効果を精査していない〝見せ金〟ではないかとの疑いを持ってしまう。そうでないなら決算委員会での審議で検査院の指摘を精査し、どう改善すればいいかを国民に示してほしい。対策が確実に国民に浸透すべきコロナ対策だからこそ執行率にもこだわりたい▼与党は野党4党が共同提出した時限的な消費税の減税法案を「無責任な法律」と批判する。だが多品目で物価が上がる中、減税は確実で現実的なコロナ対策の一つだ、との見方も現実味を帯びる▼議員にとって、予算審議に比べて決算審議は地味でアピール度に欠けるとの思いがあるかもしれないが、分配力の点検は必須だ。(万)