「ファスト映画」を巡る訴訟の東京地裁判決後、記者会見する原告側代理人ら=17日、東京都中央区
「ファスト映画」を巡る訴訟の東京地裁判決後、記者会見する原告側代理人ら=17日、東京都中央区

 人気米国映画『ブラックパンサー』の続編が公開初日を迎えた先日、残業を切り上げて松江の職場から出雲の映画館に向かい、夜の最終上映を見た。2時間41分の長い作品。松江の自宅に帰ったら日付が変わっていたが、疲労よりも充実感に満たされていた▼映画は映画館で見たいと思う。特にスーパーヒーローものは大画面と大音量の迫力が味わえる映画館に限る。期待外れに終わったとしても、スマホを切り、仕事や雑事をいっときでも忘れられたと思えば、「まあいいか」である▼作品を10分ほどの動画にまとめた「ファスト映画」をインターネットで公開した若者2人が賠償を命じられた。業界の衰退を招きかねない行為で、残念というほかない。本編の内容を明かし、見る楽しみを奪う動画を映画ファンが見るとは思えないが、多く視聴されていることに驚いた▼効率よく楽しむ時代なのだろう。書店でも「10分で読める」といったシリーズの多いこと。映画も本も10分で終わったのではもったいない▼とはいえ、そんな時勢に新聞社も対応し「朝10分で世の中の動きをつかむ新聞の読み方」を学校や地域の新聞教室で勧めている。至って簡単。1面から最後の社会面まで記事の見出しにざっと目を通し、気になる記事があれば、内容をまとめたリード(第1段落)だけ読む。これで地域や国内外で起きていることを一通り知れるはず。お試しを。(輔)