温かい鍋を囲むシーズンとなり使用頻度が増えるカセットボンベについて、山陰両県の自治体が正しく廃棄するよう注意を呼びかけている。ごみ収集車の火災や、爆発の危険がある捨てられ方が絶えないためで、関係者は「いま一度、分別方法を確認してほしい」と呼びかける。 (山本貴子、小引久美)
カセットボンベやスプレー缶の多くは可燃性ガスを使用しており中身が残っていると、収集や破砕の過程で爆発の危険性がある。
以前はガス抜きしたことが分かるよう、穴を開けてごみとして出すのが一般的だったが作業の危険性に配慮し、2015年に環境省が穴開けしない捨て方を推奨。以来、収集の方法は各自治体で分かれる。
山陰両県の12市では、島根県内8市のうち5市(松江、浜田、出雲、安来、江津)が破砕ごみなどでそのまま、3市(益田、大田、雲南)は穴開きのルールで収集。鳥取県の4市(鳥取、倉吉、米子、境港)は、いずれも穴開きでの収集を実施する。
ただ、カセットボンベなど回収時の事故や不適切な廃棄が絶えない。
鳥取市内では21年、ガスが原因とみられる収集車の火災事故が2件発生。市は「小型破砕ごみ」として、ごみを圧縮する収集車で回収しており、事故は圧縮時に生じた火花がガスに引火したのが要因とみられる。
一方、松江市は「金属ごみ」として処分するよう求めているが、市が11月に実施した調査では可燃ごみにカセットボンベなどが混入したケースが33件あった。
金属ごみはトラックに平積みで収集するが、可燃ごみは収集車で圧縮して回収するため爆発の恐れが高まる。松江市内の可燃ごみ収集を受託する、松江環境整備事業協同組合の田中美恵子理事長は「作業員が安心して収集できるよう、分別に協力いただきたい」と呼びかける。