スーパーやコンビニに並ぶ総菜などの少量パック。「一人鍋」や「一人焼き肉」を気軽に楽しめる飲食店や家庭用の商品も増えている。増え続ける1人暮らしに対応した取り組みなのだろう。できれば1人参加の場合は宿代が高くなることがあるツアー料金もどうにかなるとうれしい▼2022年版の男女共同参画白書によると、1人暮らしの単独世帯は20年には最も多い約2115万世帯に達した。全体の38%を占め、1980年に比べると約1400万世帯も増加。40年間で3倍になった。80年に約42%と一番多かった「夫婦と子ども」がいる世帯の比率は25%で2番目。「夫婦のみ」の世帯は約20%だった▼独身研究家でコラムニストの荒川和久さんが「ソロ社会」と名付けた社会の変容で、予想よりも速いペースで進んでいるようだ。原因は若年層の未婚、中年層の未婚と離別、高齢層の死別や離別の増加だとされる。このうち65歳以上では既に5人に1人、約670万人が1人暮らしだ▼日本は「少産多死」の時代を迎えているため、単独世帯は2040年ごろまでは増える見通し。一人一人の個人ではなく、「家族」や「夫婦」の存在を前提に組み立てられた今の社会保障制度などで果たしてどこまでカバーしきれるか▼ロシアによるウクライナ侵攻だけでなく、国内で静かに進行する「ソロ社会」の動向からも目を背けていてはいけない。(己)