間伐現場を見学する高校生=大田市温泉津町(2021年撮影)
間伐現場を見学する高校生=大田市温泉津町(2021年撮影)

 昨年来、議論になっている防衛費増額のための財源問題。2037年で終了予定の「復興特別所得税」を20年程度延長(税率は引き下げ)し、財源の一部とする案が有力になっている。復興特別税は東日本大震災からの立ち直りを支えるのが目的。筋が通っていないと言われても仕方ない▼同様に復興特別税で築いた徴収の仕組みを引き継ぐ「森林環境税」が24年度に始まる。個人住民税の均等割に年間千円を上乗せする「復興特別住民税」に代わる制度。都会地の住民も、地域の8割前後を森林が占める山陰両県の住民も平等に支払い、税収は森林面積などに応じて傾斜配分される。地方により恩恵がある税制だ▼ところが、一部の大手紙に昨年末、「復興が森とミサイルに変身」という見出しで疑問視する記事が出た。5年前倒しの19年度から地方自治体に配分されている「森林環境譲与税」の半分近くが消化されず、積み残しになっていることが背景にある。今後の国会審議では、防衛費とセットで「国民の理解が得られるのか」と突っ込まれる可能性がある▼コロナ禍による米国内の住宅需要増で輸入材が不足し、木材価格が高騰するウッドショックを経験した。日本国内産の木材供給の行方が注目されている▼資源はあれども、切り出して管理する人がいなければ供給はおぼつかない。厳しい現況を奇貨とし、人を育てることが納税者を動かす。(万)