立候補届けの締め切りを宣言する鳥取県北栄町選挙管理委員会の道祖尾広光委員長(右)=9月30日、同町由良宿の町大栄農村環境改善センター
立候補届けの締め切りを宣言する鳥取県北栄町選挙管理委員会の道祖尾広光委員長(右)=9月30日、同町由良宿の町大栄農村環境改善センター

 きのうは倉吉市議選(9月28日告示)、鳥取県北栄町長選と町議選(同30日告示)の投開票予定日だった。実際はいずれも無投票に。届け出が締め切られた告示日の午後5時で選挙戦は終わった。

 このうち北栄町議選は定数13。今回2人減らしたにもかかわらず、2005年の合併後初の無投票になった。告示3日前に最後の1人が出馬意向を固めるまで定数割れの可能性もあった。

 「いかに関心がないか、だ」。議員のなり手不足について、今回引退した元町議に尋ね、ため息交じりに返ってきた答えだ。1年前、同じ口から漏れた落胆の声を思い出す。全議員で議論を重ねた定数削減の住民説明会で、用意した50席中、埋まったのは2席。週末の夜という日程設定も裏目に出たのか、住民との距離を感じさせる衝撃的な数だった。

 今回、選挙戦という、関心を持ってもらうのに最大の好機も逃した。移住定住対策、地域医療、買い物環境の確保…。同じ無投票で再選が決まった現職町長の選挙公約は、裏を返せば地域課題の数々。大きな争点はなかったとはいえ、住民とそれらを共有し、共にまちの将来を考える機会を失った。

 人口減少でしぼむ地域力の今か、無関心という民主主義の危機か。両市町だけでなく各地で相次ぐ無投票は何を意味するのか。きっと一つではない答えを求め考え続けるしかない。行動と結果でこの現状を変えていくしかない。(吉)