「トラさん」といえば、映画『男はつらいよ』で渥美清さんが演じる「フーテンの寅さん」で異論はあるまい。だが個人的には、おととい90歳で亡くなった元参院議員の片山虎之助さんが思い浮かぶ。
東京での国会担当時代、なぜトラさんなのかも知らず、参院担当の番記者につられ、そう呼んだ。小泉純一郎政権、第1次安倍晋三政権の参院自民党幹事長。青木幹雄会長と共に政局を取り回した。重厚な扉で隔てた参院幹事長室から官僚を叱る声が聞こえてくることは度々で、風貌と咆哮(ほうこう)から「虎」そのものを連想させた。
当時は3兆円の税源を国から地方へ移して、その分、国の補助金項目を減らし、必然的に国が配分する地方交付税の規模を縮小する「三位一体改革」が焦点。地方の税源を増やして政策選択の幅を広げる「地方分権」が本意だが、地方交付税の減り幅が突出した“だまし討ち”に終わった。
意義を問うと、三位一体改革の名付け親でもある片山さんは地方の不満を承知した上で「国税と地方税の比率を1対1にする」と語っていた。ところが2007年の参院選で落選。税の比率は今もほぼ「国税3」対「地方税2」で不変だ。
そのまま与党にいれば、官僚を動かし地方創生を先導しただろう。少なくとも、国主導の交付金で配るモノを「おこめ券かそうでないか」と、スケールが小さなことで自治体を悩ませることはなかったはずだ。(万)













