大森拓土専門学芸員(右)に版木を見せてもらいながら、葛飾北斎の解説を受ける生徒たち=松江市袖師町、島根県立美術館
大森拓土専門学芸員(右)に版木を見せてもらいながら、葛飾北斎の解説を受ける生徒たち=松江市袖師町、島根県立美術館

 江戸を代表する浮世絵師・葛飾北斎の画業を紹介する県立美術館(松江市袖師町)の企画展「永田コレクションの全貌公開<第一章>」を、雲南市立海潮中学校の生徒10人が8日、鑑賞バスツアーで訪れた。世界有数の北斎作品の収蔵規模を誇る美術館で学芸員の解説に耳を傾け、北斎の芸術性を味わった。

 県立美術館が県内の小中学校と高校に来館を呼びかけたツアーで、海潮中は最初の参加校。企画展を担当する大森拓土専門学芸員から、北斎が時代によって名前を変えていたという逸話を聞き、精巧に彫られた版木を使った解説を通じて木版技術の高さにも触れた。

 企画展は開催中の前期展(27日まで)と、後期展(3月1~26日)で計350点を展示。魔よけの神とされる「鍾馗(しょうき)」を描いた肉筆画や注文を受けて制作した摺物(すりもの)など北斎が20~45歳頃に手がけた現存数の少ない作品が並び、生徒たちは食い入るように見入った。

 3年生の大塚夏菜さん(15)は「すごい作品が身近にあることを知った。県民として誇らしい」と話した。

 (勝部浩文)