当時、鳥取西高校にあった定時制と通信制に併修という形で入ったのは1989年春。本来なら高校3年生になる年だ。だから、この1年間で大学入試合格まで果たそうと決めていた。定時制の先生は「1年と言わず、2年くらいかけて取り組んだほうがいいのでは」と心配してくれたが、そこは私の意地だった。

記者の高校中退・大検体験記 ①高校中退 卒業式後の「悲劇」
記者の高校中退・大検体験記 ②測量会社での日々 背中を押した叔父の一言

 当時、大検は11科目の試験に合格すれば大学受験資格が得られるという仕組みだった。高校で単位を取得した科目があれば、その試験は免除される。11科目すべてを試験の一発勝負というのは、さすがに怖かったので、大検の試験は3科目だけ受け、残り8科目は1年間、定時制と通信制の授業を受けて単位を取ることにした。一方で、昼間の仕事は、測量だと夕方からの定時制通学と掛け持ちが大変だと思い、時間の融通が利く家業手伝いに変えた(父が1人で自営業の電気工事をしていた)。電気工事は高いはしごの上や屋根の上での作業があり、高所恐怖症の私には不向きだが、父の仕事ぶりを間近で見て、その苦労を感じることができたのは良い経験になった。

 後に感じたことだが、...