石見神楽の代表的な演目を元にした絵本と、登場する神や鬼などをかわいらしくキャラクター化した紙相撲のセット「トントン神楽」が出来上がった。益田市内の神楽社中有志らでつくる「MASUDAカグラボコンソーシアム」が、家族で神楽に親しむきっかけをつくり、伝統文化を受け継いでいこうと作製した。
絵本は未就学児~小学校低学年向けに、須佐之男命(すさのおのみこと)が奇稲田姫(くしなだひめ)を救う大蛇退治を描いた「八岐大蛇(やまたのおろち)」で、縦15、横11センチ、7ページのコンパクトサイズ。
ストーリーを追いながら、難しい口上も「呪文のように楽しく覚えてもらおう」と、須佐之男命が大蛇に、酒を渡すから悪事をやめるよう伝える「なんじはかしこきかみなり。いかでにあへせざらめや」のせりふに現代語訳を付けた。
トントン神楽は「大蛇(おろち)」「八幡(はちまん)」「鍾馗(しょうき)」「十羅(じゅうら)」の4演目に登場する疫神、第六天悪魔王など、かわいらしくデザインされた8役の型紙を用意。舞殿をイメージした紙製の箱の土俵をたたいて遊ぶ。対戦する2人がそれぞれ好きな役を切り取り、勝負を楽しむ。
カグラボの栗栖史生さん(48)=道川神楽社中=が絵本の文と演目の説明、依頼を受けた市内のイラストレーター野村明加(はるか)さん(37)=女性神楽団・舞姫社中=が絵を担当。
道川さんは「好奇心旺盛な子どもの神楽好きを継続させるのは難しい。家族で遊び、長く好きでいてもらいたい」と願った。野村さんは「好きな神楽が描けて楽しかった。アニメや漫画と同じ感覚で神楽に親しんでほしい」と話した。
絵本は4月から市内の神楽イベントなどで無料配布する予定。トントン神楽は価格を決めた上で、販売を計画している。問い合わせはカグラボ事務局、電話0856(25)7143。
(宮廻裕樹)