受験シーズン真っただ中、勉強に傾注し、生活がおざなりになる受験生もいるだろう。試験には心身の調子を整えて臨むことが大切。受験生の親でもある保健師の橋本久美さん(55)=島根県健康推進課グループリーダー=に、食事や健康管理について聞いた。 (広木優弥)
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試験直前に生活を大きく変えることは避け、普段通りを心がけるのがベストという。中でも「朝食を食べること」を勧める。体温や血圧が上がり、体が活動モードになるからだ。
2022年の「全国学力・学習状況調査」では、島根県内の公立学校に通う中学3年生のうち12・9%が朝食を「毎日食べる」と答えなかった。年代が上がるごとに食べない割合は高くなる傾向がある。
食欲がないときは、具だくさんのみそ汁が最適だという。整腸作用がある発酵食品のみそに加え、豆腐や肉などのタンパク質、野菜のビタミンが手軽に取れる。ヨーグルトやバナナ、牛乳をかけたシリアルを少量食べるだけでも、低体温や低血糖の状態を改善する効果がある。
お勧めしないのは、試験直前に験を担ぎ「とんかつ」を食べることだという。消化がうまくできず、試験中や前後に体調を崩す可能性があるためで、普段通りの食事が望ましい。
宿泊先でも消化の良いメニューを選ぶことを心がける。橋本さん自身、子どもの試験前は、油ものや食中毒のリスクがある生ものは食卓に並べない。
試験当日の朝は緊張で食べ物が喉を通らないこともある。軽食の持ち込みが可能かを確認した上で、休憩時間にさっと食べられるおにぎりなどを用意しておくとよいという。
感染症対策としては、手洗いやうがい、マスクの着用を心がけるほか、勉強中には適度に水分補給し、加湿を心がけたい。換気のため試験会場が寒くなることがあるため、防寒用品は準備しておくといい。
普段通りの生活が、試験本番でも平常心を保つことにつながる。橋本さんは「受験や合格は人生のゴールではない。受験期に培った生活習慣は今後も役立つはずだ」と、規則正しい生活を呼びかけた。