47都道府県どこにでも全国に誇る食品がある。島根で言えばシジミ、鳥取なら二十世紀梨。では佐賀は? 答えは海苔(のり)。有明海で養殖されており、生産量、販売額とも19年連続日本一という▼その佐賀海苔がピンチらしい。昨秋以降の降雨量の減少で、山からの栄養分が流れてこず、生産量は前年から半減。船の燃料費も高騰し、生産者にとっては泣き面に蜂。価格が上がれば食卓に上る回数も減ってしまいそうだ▼調べていくと、佐賀県がユニークなPR作戦を展開していることを知った。佐賀海苔の魅力である他の食品との「食べ合わせ力」を最大限にアピールするプロジェクト「佐賀海苔主役祭り」。ちょうど1年前の3月17日に、「漫画週刊誌の日」に合わせて世界初の海苔コミック誌『藻刊サガノリ』(非売品)を完成させていた▼「佐賀海苔と46都道府県との妄想グルメ漫画」と題するように、佐賀海苔を主役に他の46都道府県のご当地食品を擬人化。15人の漫画家が46の話を描いている▼ちなみに島根分のタイトルは「私の殻を破って!」。カメラマン「佐賀海苔」がモデル「島根しじみ」を当たり障りのないポーズばかりとなじり、隠れた魅力を引き出すというストーリー。シジミのみそ汁に海苔を入れても合うというPRだが、何ともしゃれている。要は遊び心が大切なのだろう。自慢の食品を全国に売り込む手法や商機はどこにでもある。(健)