売却先が米投資ファンドのベインキャピタルを軸とする日米ファンド連合に決まった日立金属を巡り、主力工場がある安来市の経済界代表らが20日、松江市殿町の島根県庁に丸山達也知事を訪ね、地域産業を守るための支援について意見交換した。丸山知事は、地域経済への影響を最小限に抑えるようファンド側に働き掛ける考えを示した。
意見交換は安来市側から田中武夫市長をはじめ、安来商工会議所の木口重樹会頭や特殊鋼関連企業の経営者ら6人が参加した。冒頭を除き非公開で行われ、安来工場の生産体制の見直しや取引への影響を不安視する声が上がったという。
丸山知事は14日に安来工場を視察したことを報告し、高い技術力や優秀な人材の育成に加え、地元経済との関わりの深さを再認識したと説明。終了後の取材で「安来工場が県内特殊鋼産業の中心であることや、地元が工場の行く末を心配していることをファンド側に伝える機会を見つけたい」と述べた。
意見交換の場では他に、安来、松江両市の特殊鋼関連企業でつくる航空機分野の共同受注体「SUSANOO(スサノオ)」の加盟企業から、新型コロナウイルスの影響で受注が落ち込む中で設備投資の支援要請もあった。
(木幡晋介)