出雲ドームを見ると、建設中の32年前、そばに立つ高い足場に命綱を着けて上り、写真撮影したことを思い出す。印象に残る取材だったが、今なら小型無人機ドローンを使い短時間で済む。デジタル化とともに、新聞写真の撮影から送信までの作業は時間短縮され効率的になった▼市民への写真の浸透も飛躍的だ。デジタルカメラの普及後、高機能カメラ付きのスマートフォンが普及し、写真が身近で手軽になった。スマホを手に決定的瞬間の撮影者にもなれる時代。交流サイト(SNS)が広がり、趣味の写真や動画を多くの人に見てもらうこともできる▼その中で、撮影者のマナーが問題になっているのは残念だ。「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンの中で危険な行為、ごみの放置などが問題化。JR伯備線沿線の鳥取県日野、日南、江府3町などは連携して対策に乗り出す。啓発の労力や経費は問題がなければかからないものだ▼三江線廃止前の1年間、沿線の四季を紹介する企画で取材した際、列車が駅に入る寸前に線路を横断した人がいた。ルールを守っていたら撮れないアングルで写真に収められたのだろうが、当方のこまはその人が写り込んで使えなかった▼撮影の成果を発表するときに、他との違いを出すために「暴走」する人もいるのだろうが、果たして心底満足か。マナーやルールを守って苦心した一枚だからこそ価値があると思いたい。(彦)