126年前のきょう4月27日は、日本唯一の国立図書館だった帝国図書館が開館した日。蔵書は現在の国立国会図書館(東京本館)に引き継がれ、東京・上野に1906年に完成した現存の建物は国立国際子ども図書館の一部として活用されている▼図書館が庶民に身近な施設となったのは、終戦後の50年に図書館法が制定されて以降のこと。ただ、帝国図書館も知識人らに重宝された。津和野出身の文豪・森鴎外は「わたくしは蔵書の乏しい癖に、図書館には疎遠である」(『伊沢蘭軒』)と言いながら、江戸時代の貴重な文献を所蔵した知的インフラを十分に活用していたようだ▼ここ1、2年、デジタル化に伴う国立国会図書館のサービスの進化が目覚ましい。著作権法の改正で、同館所蔵の絶版、入手困難資料の一部を、インターネット経由で利用できるようになった。3月現在で184万点に上る。著作権保護期間が終わった58万点も公開している▼当方が20代の頃、大枚をはたいて古書店で買った大正時代の貴重本(関係者に配布された非売品)も対象になっておりショックを受けた。とはいえ、年を重ね、家計を一存で差配できなくなった身にとっては助かる▼コロナ禍が和らいだ今年の大型連休は、久々に行楽地の人出が多くなりそうだ。ならばインドアで、書物のデータを検索しながら過去へと旅をする「読書の春」を満喫するのもいい。(万)