陸上の400メートルリレーは個々の走力だけでなく、チームとしての総合力が試される。タイムを大きく左右するバトンパス、アンカーの競り合いなどが見どころだ。取材した陸上大会で忘れられないレースがある。
1993年10月、松江市営陸上競技場で2日間にわたって第30回記念全国ろう学校陸上競技大会が開かれた。最終日にあった男子1部(高等部)400メートルリレー。松江ろう学校の選手の気迫あふれる走り、魂を込めたバトンパスに心を揺さぶられた。
結果は見事に優勝。当時の紙面には「45秒65=電気計時大会新」とある。同校は他にも優勝が相次ぎ、男子1部で初の総合優勝を果たした。地元開催の大会に向けて、並々ならぬ練習を重ねたことが伝わってきた。
15日から26日まで東京を中心に聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」が開かれる。1924年にあった大会が第1回とされ、身体、視覚、知的障害の選手が競うパラリンピックより歴史が古いという。日本では初めての開催となる。
日本代表として島根県からデフリンピックに出場する2選手を、先日の本紙で紹介した。松江ろう学校教諭の足立祥史さん(28)は陸上男子400メートルや400メートルリレーなどに出場予定。大会では補聴器などが使えないため、リレーのバトンパスは入念に調整し「仲間を信じて」スタートを切る。リレーの感動を再び。本番での走りに期待している。(彦)













