参院憲法審査会で意見を表明する鳥取県の平井伸治知事(左)と島根県の丸山達也知事(右)=26日
参院憲法審査会で意見を表明する鳥取県の平井伸治知事(左)と島根県の丸山達也知事(右)=26日

 地方の切実な声は届いただろうか。26日の参院憲法審査会は、1票の格差是正に向けて隣接県を一つの選挙区にする合区問題がテーマで、対象県の丸山達也島根県知事と平井伸治鳥取県知事が参考人として意見表明した。80回を数える参院憲法審査会で、都道府県知事が出席するのは初めてという▼両知事は、投票率の低下や無効票の増加により、人口減少が進む地方の声がさらに国政に届きにくくなった実態を説明。合区された2県で利害が対立した場合の弊害も伝え、都道府県単位で代表を選ぶ意義を強調した▼早期の合区解消を訴える中、丸山知事は「法改正を先行させ、その後に改憲するやり方でも構わない」と言及。最高裁で違憲判決が出ないための憲法改正の必要性は認めながらも、次期参院選まで2年余りの焦りがにじんだ▼ところが、意見表明後に約1時間半あった各党の質疑はそれぞれの立場を矢継ぎ早に主張するにとどまった。日本維新の会の議員からは「きょうは憲法9条が議論されると思ったが非常に残念。(合区より)優先すべき課題は日本の安全保障だ」という発言も飛び出した。残念だった。記者席で深まらない議論を聞き、終了後はどっと疲れが出た▼重要なのは、知事たちの意見表明を今後の討議にどのように生かすかだ。単なる形だけの「ガス抜き」であってはならず、重みを感じてほしい。議論の行方を注視する。(吏)