3日の憲法記念日で施行76年を迎えた日本国憲法。ともに40代の憲法学者と政治学者が、それぞれ「憲法と個人」「憲法と政治」を巡る課題を論じた。
■危機あおり無法状態に
東京大非常勤講師・栗原康
ひと昔前まで、憲法といえば護憲か改憲か。やかましいくらい議論されていたけど、今ではあまり元気がない。必要がなくなったのか。安倍晋三政権時代に安全保障法制が成立。争点だった9条が骨抜きにされている。
いや、憲法の条文自体が意味をなさなくなったのかもしれない。とりわけ2011年以降、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験して、政治家たちは気付いてしまったのだ。危機は支配の究極原理であると。
例えば安保法制。中国...