心を病んだ母は、自死の瀬戸際まで追い詰められていた。「どうして一生懸命信仰しているのに病気になるの。どうしてエホバはお母さんを助けてくれないの」。坂根真実(46)が泣きながら口にしたのは、家族が長年信じてきた宗教の「神」の名だった。12年前のことだ。

 「エホバの証人」の宗教2世の坂根は当時、信心を失いかけていた。母は信仰を続けていたが、身近な人が亡くなり、精神のバランスを崩した...