島根県内で新型コロナウイルス感染症の入院患者が25日に一時、初めて100人を超え、病床の使用率が40%超となった。5月に入り、県西部を中心にクラスター(感染者集団)が続発し患者が急増したため。もともと病床が少ない県西部の医療現場は負担が増し、県は近く病床を積み増し、宿泊療養施設を稼働させる。さらなる事態悪化に備え、軽症者を自宅療養とする対応の検討にも入った。

 県内の感染者数は、約80日ぶりに2桁台となった4月中旬以降、増加傾向になった。5月の大型連休後には益田保健所管内のカラオケ喫茶などで計3件のクラスターが発生し急増した。

 県によると、25日午前0時現在の入院患者は103人で確保病床(253床)の使用率は40・7%となった。午後4時現在は93人、36・8%となり「ステージ4」(爆発的感染拡大)の水準(50%)からは遠のいたが、予断を許さない。

 益田市医師会の松本祐二会長は、コロナ患者を受け入れる管内の施設が一般病棟を停止しながら対応している窮状を踏まえ「予想を超える感染者だ。看護師確保も難しいレベル」と危機感を口にする。

 県健康福祉部などによると、県西部の病床は県全体の3割程度しかなく、県西部の患者を県東部の病床にも振り分けている。同部の谷口栄作医療統括監は「もう一つクラスターが来れば厳しくなる」とみる。

 県は病床を増やし、宿泊療養施設(計98室)を稼働させるほか「患者が200人前後になれば検討せざるを得ない」(谷口医療統括監)という軽症者の自宅療養も視野に入れる。患者の健康状態を巡回確認する担当者を置き、陰性の家族はホテルで過ごすといった具体策を検討している。

 25日の定例会見で丸山達也知事は「医療の負荷が高まっている。深刻に受け止めている」とし、対策強化の意向を強調した。(多賀芳文、佐々木一全)