出雲市内の医師や医学部生などでつくる出雲漢方研究会(代表・宮本信宏島根大医学部教授)が、松江市八束町・大根島特産の薬用人参(にんじん)「雲州人参」を使った薬用酒を商品化した。苦みを抑え、すっきりとした後味にしたのが特徴。雲州人参の普及と産地振興を図る。
薬用酒は「神名火(かんなび)」と名付け、500ミリリットル瓶入り。雲州人参に加え、ショウガ、ナツメなど7種類の生薬と蜂蜜を使った。胃腸の動きを助ける作用を引き出せるように配合を調整。仕込みは蔵元の板倉酒造(出雲市塩冶町)が協力した。
価格は未定で、7月に発売予定。出雲市内の土産物店のほか、研究会が開設する専用のインターネットサイトで取り扱う。
研究会は、島根大医学部付属病院(同)の医師らで約10年前に発足。勉強会や講演会を開催し、漢方の専門的な知識の蓄積や周知を進めてきた中、商品を通じて効能を伝えようと、薬用酒の開発に取り組んだ。
商品開発担当で同医学部6年の片岡諒さん(27)は「日常的に楽しんでもらおうと苦みを抑えるなど、飲みやすさに工夫した」と話した。
研究会は今後、出雲市内で雲州人参の生産、就農支援を計画。山陰両県で栽培しているのは松江市八束町のみとなっており、産地を増やし、減少傾向にある生産量の拡大につなげる。
(月森かな子)