アルバム「ブルー」
アルバム「ブルー」
「スターズ」を収録したアルバム「スターズ」
「スターズ」を収録したアルバム「スターズ」
アルバム「ブルー」
「スターズ」を収録したアルバム「スターズ」

 シンプリー・レッドの4年ぶりとなる新アルバム「タイム」の発売に先立つシングル「ベター・ウィズ・ユー」が、何とも心地よい。薫風のように軽やかなメロディーと味わい深い歌声に、仕事の疲れは消える。40年近いバンドの歴史の中で最もポップな曲の一つだろう。至福の3分19秒。すっかり魅了されている。

 はやりのEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の雰囲気を漂わせる新曲はリーダーでボーカルのミック・ハックネルの作。ポップさでは1991年のヒット曲「スターズ」と肩を並べると思う。年齢を重ねても才能の枯れないアーティストはいるものだ。持ち味のソウルフルな歌声は適度にかすれ、渋みを増している。ミュージック・ビデオからは歌う喜びが伝わってくる。日本人メンバーのギタリスト鈴木賢司の姿もある。

 85年に英国で結成されたブルー・アイド・ソウルのバンド。86年に大ヒットした「ホールディング・バック・ザ・イヤーズ」とデビューアルバム「ピクチャー・ブック」に当時聴き入った。独特の世界が既に出来上がっている新人バンドの登場に驚いた。

 ミック・ハックネルを中心に、他のメンバーは入れ替わりながらその後もヒット作を連発。中でも、日本人ドラマー屋敷豪太がメンバーとして深く関わった98年のアルバム「ブルー」には、ぞくぞくするほどの感動を覚えた。

 解散と活動再開を経て、2019年の「ブルー・アイド・ソウル」以来となる期待の新アルバム「タイム」は26日にリリースされる。(洋)