太平洋側の深海に生息するとされるホオズキイカの一種が24日、島根県隠岐の島町の近海で捕獲された。島根大隠岐臨海実験所(島根県隠岐の島町加茂)によると、日本海で生きたまま見つかるのは極めて珍しいという。今後、DNAを解析して謎の多い生態の解明に役立てる。
ホオズキイカの一種は24日早朝、長尾田地区の沖にある定置網の中に浮いているのを吉田水産(隠岐の島町北方)の吉田稔社長(61)が見つけた。吉田さんは「最初はクラゲに見えたが、目と足が付いていて『これはなんだ』と思った」といい、生きたまま持ち帰り、臨海実験所の吉田真明准教授(41)=進化生物学=に連絡した。
吉田准教授によると、個体は体長20センチ。胴体は透明だが、ふくらみやオレンジの斑点が現れてホオズキのように見えるのが名前の由来。太平洋側の深海で捕獲された報告はあるが、個体数が少なく生態はよく分かっていないという。
吉田准教授は「標本で見たことはあるが、生きているのを見るのは初めてだ。潮の流れが速い隠岐近海に深場から流れ込んだのではないか」と話している。
ホオズキイカは弱ったため、25日午後に標本用として臨海実験所が冷凍保存し、今後の研究に生かすという。 (鎌田剛)