AC/DCのライブ盤「ライブ」
AC/DCのライブ盤「ライブ」

 シンプルで武骨なサウンドにダミ声のボーカル。AC/DCは好みが分かれるロックバンドだろう。とにかく男臭くて熱い。スタジオ録音盤ではなく、ぜひともライブ盤で聴いてほしい、できればライブ映像でステージパフォーマンスも見てほしいバンドだ。

 一番好きな曲「サンダーストラック」の魅力は、イントロのギターのかっこよさに尽きる。テッテッテッテ、テッテッテッテ…と単純なメロディーを繰り返すだけなのに、わくわく感をそそる。奏者はバンドの看板、アンガス・ヤング。「サンダー!」とコーラスが加わり、ライブ感を醸し出す。この1曲だけで収録アルバム「レイザーズ・エッジ」(1990年)は買う価値がある。

アルバム「レイザーズ・エッジ」

 ライブ盤「ライブ」(92年)は丸ごとお勧め。代表的な曲がそろい、ベスト盤とも言える。ビデオもあり、もちろん持っている。収録曲で特にお勧めなのは「ホール・ロッタ・ロジー」。冒頭、ジャジャジャ、ジャジャジャジャッ…というギターリフの合間に「アンガス!」と観客のコールが合いの手のようにぴたりと収まり、曲の一部と言えるほどだ。これと比べればアルバム「ロック魂」(77年)収録の同じ曲は物足りなく感じてしまう。

 ほかに好きな曲はイントロが重厚な「フー・メイド・フー」(86年の同名アルバムに収録)、リズミカルな歌い方が面白い「狂った夜」(80年のアルバム「バック・イン・ブラック」に収録)といったところだ。

 アンガスはステージパフォーマンスも魅力的。頭を上下に振りながら、足踏みでリズムを取りながらの演奏で、とにかく熱い。

 そして2代目ボーカリストのブライアン・ジョンソンはかなりのダミ声で何を言っているのか聴き取りにくいが、とにかく熱い。2016年のツアー途中にブライアンが病気で離脱し、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが代役を志願して務めたことがある。ライブ映像を見ると、ブライアンの存在感の大きさに気づく。アクセルも個性的で素晴らしいボーカリストだが、AC/DCの音楽にはブライアンのダミ声がしっくりと合うのだ。

 ちなみに、ガンズのメンバーはAC/DCのファンで「ホール・ロッタ・ロジー」など何曲もカバーしている。クイーンのブライアン・メイもAC/DCに憧れたらしい。はやり廃りと関係なくシンプルで武骨なロックを愚直に貫く姿勢は敬愛を集めてやまない。
 (志)
 

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