「政府は法案のことに全力投球で、私らのことは二の次だ」。島根県の丸山達也知事は5月25日の定例会見でいら立ちを見せた。

<Sデジ+>丸山知事の再稼働同意から1年 1年前の発言を振り返る

 この一年、政府は「新増設やリプレース(建て替え)は想定していない」としていた原発政策を大転換。エネルギー危機などを理由に運転延長や次世代型原発の開発・建設を打ち出し、原発活用を掲げる新法「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」を成立させた。

 「苦渋の判断」と表現した、1年前の中国電力島根原発2号機再稼働を巡る同意表明後、丸山知事は県民の懸念解消を念頭に、経済産業省などに「取り組むべき項目」を示し、国として対応するよう要請した。

 内容は交付金の対象地域拡大・充実、避難道整備の支援拡充、県民と自治体の理解を得るためのエネルギー政策や原発の必要性の明示など。現状で具体的な対応はほとんど見えず、2024年度の予算編成を前にした国への重点要望に同じ項目、文言を盛り込んだ。

▽新法へ一気呵成

 エネルギー関連の五つの法改正をまとめ、...