米中の景気回復などを背景とした原油高で、燃料価格が上昇している。山陰両県はレギュラーガソリンの1リットル当たり平均価格が150円台で高止まりし、市中のドライバーからはため息が漏れる。バスやトラックの事業者は燃料費の増大に頭を悩ませている。
27日夕、松江市内のガソリンスタンドは帰宅途中の客などで混雑した。価格表示の看板には「レギュラー154円」。給油待ちの50代の会社員女性は「車で出掛けにくくなった」とこぼした。
石油情報センターによると、24日時点の全国調査でレギュラーガソリンは4週連続で値上がりした。島根は11週連続、鳥取県は2週続けての150円台で、島根は1年1カ月ぶり、鳥取は2年4カ月ぶりの水準となっている。同店の店員(35)は、客足や売り上げに大きな変化は出ていないとした上で「今後も大幅に上昇するようだと、少しでも安い店を探す人が増え、価格競争に巻き込まれかねない」と警戒した。
軽油価格も同様に上昇しており、運輸事業者の経営を圧迫している。高速バスを運行する日ノ丸自動車(鳥取市古海)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で6路線中5路線を運休中。中島文明業務部長は「コロナ禍の苦境に加え、燃料負担の増大は厳しい。昨年は安値圏でまだ助かっていたのだが」と話す。
九州を中心に建設資材などをトラックで輸送する富士見物流(松江市八幡町)の田部紀幸所長は「ドライバーには燃費に配慮した運転を呼び掛け、経費圧縮に努めているが、限界がある」と嘆いた。
(部田寛孝、今井菜月)