砂浜に紛れているプラスチックごみの破片=松江市鹿島町、古浦海水浴場
砂浜に紛れているプラスチックごみの破片=松江市鹿島町、古浦海水浴場

 山陰の主要海水浴場は近年、普段から丁寧に手入れが行き届いているのか、シーズン前の6月でもきれいな砂浜を保っている場所が少なくない。先日、市民有志による朝の一斉清掃活動があった松江市鹿島町の古浦海水浴場も、波打ち際での見た目はごみが目立たなかった▼だが、はいつくばって目を凝らすと、青、オレンジ、緑と、色とりどりのプラスチックの破片が散乱していた。もともとは器などの製品の一部だった物が劣化して粉々に砕け、海底に沈んでいたり、海岸で砂に紛れていたりする▼ペットボトルや漁具など比較的大きなごみを袋に放り込んだ時は、ささやかながら達成感があるが、拾っても切りがない大きさのごみを目にすると、無力感が漂う▼直径5ミリ以下の破片「マイクロプラスチック」が餌を摂取した魚の体内に取り込まれた後、人間にも影響が出てくるのではないかと懸念されている。TSKさんいん中央テレビ(松江市)が5月に放映したドキュメンタリー番組「母なる海はどこへいく」は、海洋プラスチックごみの問題を扱い、2050年には魚よりも海洋プラスチックごみの量が上回るとの研究結果を紹介していた▼こうなると、どこから手を付けていいのか想像もできず、もやもや感が募る。一人一人の力はとても小さいけれど、やはり本から絶っていくしかない。水分の摂取量が増える夏に、器から見直してみたい。(万)