きのうはアスファルトをたたきつける激しい雨音で目覚めた人も多かったのではないか。山陰沖に延びる梅雨前線の活動が活発化。島根県東部で線状降水帯が発生し、松江、出雲両市の全域などに避難指示が発令された▼冠水した道路で身動きできなくなった車両、崩れた土砂でふさがれた山道、氾濫寸前の河川…。農作物にも影響が広がっているだろう。気象庁によるとあすにかけて大雨が続くという。被害が最小限にとどまることを祈るばかりだ▼この時季の天候を表す言葉に「暴れ梅雨」がある。梅雨後半に災害をもたらすような大雨のことを指す。残念ながら近年は7月前半に毎年のようにやって来る。6年前は九州北部豪雨(5日)、5年前は岡山県倉敷市真備地区の大規模浸水の記憶が今も残る西日本豪雨(6日)、そして2年前は、記録的な大雨により静岡県熱海市で大規模土石流(3日)が発生した▼このうち西日本豪雨は山陰の江の川流域などにも大きな傷跡を残した。とはいえ、それ以外の地域では、こうした豪雨災害をどこか人ごとのように見ていなかったかと自戒する▼山陰で「暴れ梅雨」が猛威を振るったのが、島根県西部を襲い、県内で107人の死者・行方不明者を出した1983(昭和58)年7月20~23日の「58豪雨」だろう。今年は発生から40年の節目の年。これを機に、自分のこととして「暴れ梅雨」への対策を見直したい。(健)