10月29日に出雲市内で開催予定だった日本一過酷とされる1138段の石段が名物の「一畑薬師マラソン大会」について、実行委員会が19日、中止を決めた。8日からの大雨でコースの市道の一部が崩落したことが原因。多くのアスリートが楽しみにする伝統の大会に、大雨が爪痕を残した。新型コロナウイルスの影響以外での中止は初めて。(佐野翔一)
大会は例年、出雲市小境町の一畑薬師山上駐車場を発着点とし、5キロ、10キロの距離別2コースで開催。参加者は宍道湖を望む山の中腹から標高差約300メートルのつづら折りの坂を一気に下り、最後に石段を駆け上がる。市によると、大雨で駐車場から1・8キロ地点の市道の路肩が崩れ落ち、アスファルトがめくれた状態で、8日から全面通行止めとなっている。復旧には1年程かかる見通しという。
19日に市内であった実行委では、駐車場を主会場とするのが困難であることを確認。代替コースの設定は時間的余裕がなく、10月開催には間に合わないと判断し、中止を決めた。土江陽治委員長は「ランナーの期待に応えられず残念。来年は確実に開催できるよう準備したい」と話した。
大会は市と山陰中央新報社が主催。44回目の昨年は、2コースで男女、年齢別計15クラスに799人が出場した。
一畑薬師への参拝は、迂回(うかい)路があり可能という。