東京五輪・パラリンピックの事前キャンプで訪れる予定のジャマイカ陸上チームに、自分たちが育てたトマトを食べてもらおうと、鳥取県立鳥取湖陵高校(鳥取市湖山町北3丁目)の生徒たちが栽培を進めている。農畜産物の生産工程管理に関する国内認証「JGAP」を既に取得。新型コロナウイルスでキャンプがどうなるか不透明だが、いつでも提供できるよう準備を怠らない。
「おいしいと言ってほしい。私たちのトマトが栄養となって、メダルを取ってくれたら」。ハウスで栽培作業に当たっていた食品システム科3年の白岩咲穂さん(17)が笑顔で語った。
GAPとは農畜産物の生産管理の徹底を示す国際認証で、JGAPはその国内版。取得するためには、使用する農薬量や異物混入のリスク回避など120以上ある審査項目をクリアしなければならない。大会組織委員会は2017年、安全性や自然環境に配慮している証しとして食材提供の条件に定め、生産者に取得するよう求めている。
園芸担当教諭の脇清貴さん(42)が、認証を取ることを生徒たちに提案。取得に向け、食品安全や環境保全のための点検項目を実施。記録、評価を重ねつつ、改善に取り組んだ。ホストタウンの鳥取市によると、ジャマイカ代表は7月10日に鳥取入りする予定だが、新型コロナの影響もあって事態は流動的。市民との交流活動も難しいという。
脇さんは「不安は確かにあるが、食材を提供できるよう作付けの時期も今年は1カ月遅らせている。頑張ってくれた生徒たちのためにも何とかトマトを提供したい」と意気込んでいる。