1週間前の3連休、半日を利用して松江、出雲両市の半島部を、自転車で流した▼50キロほどの行程のうち数カ所で地元の人たちが草刈り機を持って集まり、路肩の清掃をしていた。前の週に大雨が降ったばかり。草刈りだけでなく細い溝にたまった泥や草をさらう作業なども一苦労だ。通りすがりの者にとって「名もなき場所」でも、集落の人にとっては、地域の顔となる大切な公共スペース。維持する力がまだ残っていると実感する▼とはいえ、短時間に大量の雨が降る近年の気象状況は、半島部の道路事情を悪化させている。復旧作業に優先順位を付けざるを得ない昨今の財政事情もあり、災害によって全面通行止めになると、ダメージがじわじわと広がる▼先の大雨では、路面の損傷が激しい出雲の市道・妙見一畑山線が全面通行止めとなった。一畑薬師の参拝客が主に利用し、自転車の愛好者にとって挑戦精神をかき立てられる山道。迂(う)回(かい)路はきちんとあり、要所には山頂へと誘導する手作りの看板も設置されている▼人口減少と財政悪化は、自助と公助の力を徐々に弱体化させている。両方とももちろん要だが、その間をつなぐのが共助だ。避難、復旧作業だけではなく、復興支援で力量が問われる。ボランティア活動や寄付行為などの直接的な支援だけでなく、交流サイト(SNS)での情報発信など、一人一人にできることはたくさんある。(万)