江尾十七夜に向け、こだいぢ踊りの練習に励む保存会メンバーら=鳥取県江府町江尾、町山村開発センター
江尾十七夜に向け、こだいぢ踊りの練習に励む保存会メンバーら=鳥取県江府町江尾、町山村開発センター

 鳥取県江府町の恒例行事「江尾十七夜」が17日に4年ぶりに通常開催される。祭りのメインイベントで、500年余りの伝統を受け継ぐ「こだいぢ踊り」が久々に有観客で披露されることになり、保存会メンバーが練習に熱を入れる。

 祭りは戦国時代の江美城主・蜂塚氏が盂蘭(うら)盆の8月17日夜に城門を開放し、民衆と共に先祖供養や豊作を祈願し、無礼講で踊り明かしたのが起源とされる。城主の遺徳をしのぶ踊りは県指定無形民俗文化財で、そろいの浴衣に編みがさをかぶり、太鼓と唄に合わせしっとりと舞う。

 江府町江尾の町山村開発センターで4日夜にあった本番前最後の合同練習には、町民有志でつくる保存会メンバーを中心に20人が参加。踊り手は太鼓を中心に輪をつくって並び、拝むようなしぐさや、垂れる稲穂を模して手を下ろす動きを真剣な面持ちで確認していった。

 江尾十七夜はコロナ禍の影響で2020、21年は中止、22年は縮小開催だった。だがこの間も「こだいぢ踊り」は無観客の動画配信に切り替え、伝統を絶やすまいと保存会メンバーだけで踊り続けてきた。

 祭り当日は飛び入り歓迎で、例年は100人ほどで舞う。保存会の見山收会長(76)は「踊り抜きに江尾十七夜は語れない。500年の伝統を受け継げるよう、盛大に踊って老いも若きも巻き込みたい」と意気込む。

 江尾十七夜は江府町江尾地区で、午後5時半ごろに太鼓の打ち流しを機に開始し、上之段広場でこだいぢ踊りが舞われるほか、花火大会などもある。(佐貫公哉)