記録的な猛暑の影響を受け、JR木次線でレールの温度上昇による運転見合わせが相次いでいる。運休・遅延は17日までに5件発生し、すでに昨年の1年分に相当。平野部や海岸部を走る他路線より格段に多く、熱気がこもりやすい山間部の事情が影響しているとみられる。冬季は大雪でも運休を強いられており、夏冬とも不安定運転のリスクを抱えている。
JR西日本中国統括本部によると高温による運休は、各駅でレールの温度を計測し、基準値を超えた場合に判断。基準値は各線区で異なる。レールは高温の影響を受けやすく、おおむね60度前後でゆがむ可能性があり、最悪の場合、脱線の危険も伴う。
山陰両県で今年、高温で運転を見合わせたケースは7件。記録的な猛暑となった2018年は16件、19年~22年は3~6件発生し、木次線が大半を占める。
木次線で多い理由についてJR西は、路線の大部分が山間部を走り、暖かい空気の逃げ道が少ないためと分析。担当者は「今年は特に多いが、猛暑が続けば18年を超える可能性も十分にある」と危惧する。
高温により6日には、本年度で終了するトロッコ列車「奥出雲おろち号」が運休。木次線のプロモーションに取り組む奥出雲町観光協会の遠藤達也事務局次長(68)は「島根県外から乗りに来る人もいる。猛暑が和らいでほしい」と願う。
沿線は県内有数の豪雪地帯でもあり、昨冬は出雲横田―備後落合間で22年12月18日~23年1月18日の1カ月間運休した。輸送密度(1キロ当たりの1日の平均乗客数)が、出雲横田―備後落合で数十人にとどまる厳しい状況が続くだけに、県観光振興課の斎藤卓男課長は「天候はどうしようもないが、夏冬ともに、もう少し安定してほしいところだ」と話している。
(清山遼太)