本コラムの第1回(2017年4月4日号)の原稿「自己中心の金融機関しか存在しない地域は崩壊する」に以下の文言がある。

 「AI(人工知能)が融資先の財務分析を行うような時代が到来した今、融資・預金・投資信託・保険を単品商品と位置づけ、それらを販売するだけのビジネスモデル(プロダクトアウト型)は早晩フィンテックや低コストの異業種によって取って代わられてしまうだろう」

 今年になって、この動きが顕著になっている。3月に米国大手証券会社が発表したリポートによると、米欧では金融オペレーションの35%が今後AIで自動化される可能性があるという。本邦においても住信SBI銀行などのネットバンクが飛躍的に業績を伸ばしているが、以前のように住宅ローン中心から、精度の上がったAIを駆使し、担保や実績がないため銀行が対応できなかったスタートアップ企業や中小零細企業向けの融資の領域でも広範囲に実績を積み上げている。

 一方、調達サイド(預金)でもネットバンクの動きが目立っている。auじぶん銀行や楽天銀行の預金残高は共に1年間でおよそ20%増えた。いずれも高い金利を提示したことによるものだが、ネットバンクならではのコスト競争力(店舗なし、非対面)が効いている。

 迎え撃つ地銀なども手をこまねいているわけではない。店舗の効率化やAIの導入なども検討しているが、...