パンデミック以前まで倒産件数は減少傾向にあり、帝国データバンクによれば、パンデミック直前の2019年下期は4356件だった。20年以降は、政府系金融機関を中心とした資金支援により多くの事業者の資金繰りが確保されたこともあり、21年上期で3083件(前年同期比21・8%減)、同年下期で2932件(同24・2%減)とさらに減少した。パンデミックの影響で一時的に需要が消失した事業者は多く存在しており、政府の支援で資金繰りを確保し、倒産を抑制できたことは、社会全体の秩序を維持できたという点で評価できる。
半面、事業規模に比して過剰な債務を抱えた事業者が増えている。こうした事業者が直面しているのは、世界的な資源高、日米金利差による円安の進捗、労働人口の減少による人手不足といった事業環境の変化だ。今後は過剰債務を抱えながら、この環境に適応しなければならないが、対応できず倒産する事業者が続出するのではないかという危惧を覚えている。実際、23年上期の倒産件数は4006件となり、前年同期比で31・6%増に転じている。
金融機関はこうした事業者への支援に取り組む必要がある。過剰債務を抱えたままだと資金調達の阻害要因となり、...
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