1994年12月、夜のとばりが降りた厳寒のハンガリー・ブダペスト。4日深夜から5日未明にかけ、米国とウクライナの水面下の最終交渉が繰り広げられた。焦点は、ソ連の残した核兵器を完全放棄するウクライナが核拡散防止条約(NPT)加盟を表明する際の外交文書の文言だった。

▼土壇場の交渉

 「クチマ大統領が『ウクライナは非核保有国としてNPTに加盟する』と記した加盟文書を(米ロ英に)手渡す段取...